airbnb × カヤックLiving 建築デザインアイデアコンペティション

結果発表

西原有希子設計建築事務所

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団地そのものを世界的スポーツ・イベント競技の映像を観賞できるパブリックビューイング会場とし、観戦のために来日した観光客を対象に空室を一時的な宿泊施設としても貸し出す提案。
観戦チケットの入手が難しい人気競技もここで観戦することで、居住者と旅行者が思いを一つにしながら競技観戦を楽しむことができる。
ここで暮らす高齢者や幼い子どもがいる家庭など、会場 まで足を運ぶことが難しい層も自宅で楽しめる。
西原さんが想定するのは、空室の多い連棟の団地。映像は団地の壁面を活用した巨大なプロジェクターに投射し、人々はスマートフォンで配信される音声とともにベランダで観戦する。スポーツ・イベント後は現状復帰を想定する。

審査員コメント

Pen 編集長

安藤 貴之

来年、東京で開催される世界的スポーツイベントを観戦するためにやってくる外国人旅行者をメインターゲットとして絞り込むことで、提案もシンプルでわかりやすいものになっている。
近年、日本への外国人観光客が急増しているのは、ポップカルチャー、伝統的な街並み、伝統美術、食といった日本文化への関心の高まりが背景にあると言われているが、
この提案についていえば、世界的スポーツイベント目的の観光客は「文化に興味のない人だっている」「彼らの共通の話題はスポーツ」という冷静な視点がアイデアの源泉である。
パブリックビューイングを設置して、みんなでイベントを楽しむというシンプルな手法も潔くて好感が持てる。ただ、世界的スポーツイベント後のプランにもう少しアイデアが欲しいところ。

東京大学教授

大月敏雄

2020年の時期に、提案者が示すような団地観戦空間が本当に実現するならば、歴史に残るようなワンシーンになるに違いない。
現実的には、団地を使ったビジネスというよりは、団地を使った記念的イベントを、団地住民、地域住民、行政などの協働事業として実施するということが妥当だろう。
日韓W杯のカメルーンの選手の宿泊先であった中津江村が、選手と住民の交流で一気に話題となったように、今度は、応援団同士が団地住民との交流で一気に話題になることも可能だと思われる。ただ、競技は主として日中に行われるので、プロジェクターで良いのか、雨の日どうするのか、などの諸問題もあるだろう。

星 翼・矢萩 智・仲俣 直紀

SHOKUNO DANCHI KANAZAWA 職能団地金沢

SHOKUNO DANCHI KANAZAWA 職能団地金沢

演奏家や工芸の職人などといった技術的な職能をもつ人たちが集い、表現する場を提供するホームシェアリングと宿泊所を併設する施設として団地を再生する提案。
ここでは和楽器の奏者と職人を想定し、産地である石川県金沢市の団地が設定された。団地は4階建ての建物を想定し、1階に公共性の高い交流サロン、2階に工房や販売スペース、3~4階を宿泊スペースに改修を行う。各居室 の壁面は防音仕様とし、地域への音漏れを防止する。
低層階でコンサートや工房でのワークショップを催し、地域の人々や観光客とつながる場を実現。階段室によって分節されるタイプの団地を選ぶことで、ブロックごとのゾーニングや宿泊者のプライバシー確保も行える。

TERRAデザイン

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一般社団法人感共建築ラボ 代表理事 株式会社TERRAデザイン 一級建築士事務所 代表取締役 寺本 勉

三丁目の昭和団地ver.2020 いまどきのホームシェアリング

三丁目の昭和団地ver.2020 いまどきのホームシェアリング

観光客が団地を訪れ、そこで暮らす住民とのコミュニケ ーションによって衣食住の体験そのものを「お持ち帰り」 するというホームシェアリング案。
日本の文化に触れた いと望む旅行者を対象とする。団地で暮らす住民の各居 室で、住民自身が「おせち料理などの日本の料理を学ぶ」「甚平を着て団地の庭でおじいちゃんにベーゴマや竹馬 を教えてもらおう」「オコタに入りながらおばあちゃんの 昭和な暮らしの体験を聞く」などの体験を提供。
また、 利用者が体験を共有できるSNS型のプラッフォトーム を用意し、記事化によって拡散した情報でさらなる利用 者の拡大へとつなげる。こうしたサービスの提供によっ て住民側に利益が発生するため、継続性が望める。

アイデアコンペティションについて

ある日、ある団地の大家になることになりました。
2020年に向けて訪日観光客が増えている昨今、
その観光客をターゲットにホームシェアリングでもやろうかな?と思い立ちます。
あなたが大家になったら、
どんなホームシェアリング団地をつくりますか?

もちろん住民としてその場所に住む人もいます。来訪した人は住民との交流も楽しみたい。
一方で住民はプライバシーだって守りたい。
1フロアぶち抜きの大空間をつくったり、
大家のあなたと趣味を同じくする人が集まるような部屋をつくったり。
ホームシェアリングをするなら収益性も大切です。

対象となる団地は決めません。あなたがいつか住みたいと思っていた団地でもOK、
架空の団地でもOKです。
大家のあなたも、来訪する観光客も、住民も、みんなが楽しめる団地ホームシェアリングの形を考えてみませんか?

応募要項

募集テーマ

『訪日観光客を楽しませるには?面白いホームシェアリング団地を考えてください! 〜世界に開かれた、住み継ぐ未来の団地の形〜』
「団地」が持つポテンシャルを最大限に活かし、現代社会に合った世界にひらかれた、新たな「団地」活用をリ・デザインすることが
本コンペの目的です。あえて対象物件を設定せず、住人や地域コミュニティとの交流、維持管理など、新たな価値提供を期待しております。

内容

・「団地」対象物件は設定しておりませんので、世帯・一棟・連棟、対象団地など、自由に設定下さい。
・「世界にひらかれた」をテーマに、「暮らすように旅する」
・ ターゲットは訪日観光客
・「好きに暮らそう」をテーマに、住人に新たな価値を提供する。

《選考ポイント》
・住民のプライバシーやセキュリティが配慮されていること。
・維持管理や収益性の検討。
・住民や地域コミュニティとの交流やコミュニケーションが設計されていること。

応募条件

SuMiKaに登録している建築家(新規登録OK)
SuMiKaへの新規登録はこちら
参加費用は無料です。

応募期間

2018年12月6日~2019年1月6日

提出物

A4サイズ3枚にまとめて下さい。(図面は含みませんので、ご自由に添付して下さい。)

・設定要件(一世帯or一棟or連棟などの設定を明記して下さい)
・概算工事費
・ホームシェアリングでの運用方法
・賃料の設定

表彰

優秀賞:賞金20万円
   雑誌「Pen+」掲載
   SuMiKa facebook 紹介
Airbnb賞:5万円+Airbnbグッズ
カヤックLIVING賞:面白法人カヤック「まちの社員食堂」お食事券3,000円分+SuMiKa facebook 紹介

審査員紹介

Pen 編集長
安藤 貴之

1965年東京生まれ。明治大学政治経済学部卒業後、新聞記者、ビジネス誌の編集者を経て、1995年にTBSブリタニカ(現CCCメディアハウス)入社。新雑誌準備室からPen+創刊へ。2001年に副編集長、2005年から編集長を務める。好きな建築家は、フランク・O・ゲーリー。

東京大学教授
大月敏雄

1967年生。東京大学工学部建築学科卒業。博士(工学)。東京大学教授。住宅、集合住宅、住宅地が専門。著書に「集合住宅の時間」(王国社)「住まいと町とコミュニティ」(王国社)「町を住みこなす」(岩波新書)等。

Airbnb Japan 執行役員
長田英知

東京大学法学部卒業。市議会議員を1期務めたのち、IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社、PwCアドバイザリー合同会社等で戦略コンサルタントとしてスマートシティ、インフラ輸出、MICE戦略など都市・地域を切り口とした新規事業戦略・サービスデザインに携わる。2016年9月にAirbnb Japan入社、同社のホームシェア事業およびアライアンス戦略の責任を担う。外部役職として2018年度グッドデザイン賞審査委員。

面白法人カヤック 代表取締役
柳澤 大輔

1998年、学生時代の友人と面白法人カヤックを設立。2014年12月東証マザーズ上場。鎌倉に本社を置き、Webサービス、アプリ、ソーシャルゲームなどオリジナリティあるコンテンツを数多く発信。カヤックグループとして、ウェディング、esports、住宅、葬儀など多種多様な事業を擁する。100以上のWebサービスのクリエイティブディレクターをつとめる傍ら、さまざまな広告賞で審査員歴を持つ。最新著書として、2018年11月に地域から新たな資本主義を考える「鎌倉資本主義」を上梓。